商談も懇親もスムーズにしたいなら
外したくない
エグゼクティブ必須の食事マナー
7つのポイント
だから大切、食事のときの振る舞い
食事のマナーが影響して仕事を失った人がいる、と言うと驚かれるでしょうか。実は事実です。しかもそれほど少なくありません。食事はいちばん「人」が見られてしまう場面なのです。
古今東西、人と親しもうとするときに「食事」の場面はかなりの頻度で登場します。仕事の会食などは正にその典型です。テレワークの普及や法人接待の減少で今後回数としては減るかもしれませんが、いざそのときになれば重要な場面であることは変わりません。
なぜ重要か。それは「人は食べ方で見られる」ことは間違いなく、それはずっと昔から変わりないからです。「食べ方」は怖いもので、教養だけでなく品性や人への思いやりなど人格面も見られしまいます。特にビジネスシーンでは、食事における「態度」をお互いに見るようになります。親睦を深め距離を縮める前に、信頼できる相手かどうかを見極める場になってしまうのです。
きれいな食べ方ゆえに仕事の感性や人格に深みがあるように思われる人、逆にあまり感心できない食事マナーゆえに「あの程度だったのか」と思われてしまう人。今まで両方の人を見てきました。断然、前者のほうがいいに決まっています。「食べ方」は本当にその人の印象を決めてしまいます。ぜひ意識的にきれいな食べ方を身につけていきたいものです。
あなたがエグゼクティブ、つまり経営者や管理職、あるいは何かの分野のプロフェッショナルならば、特にきれいな食べ方をおすすめします。ここではややフォーマルな洋食系の食事シーンを想定して、大事なポイント7つを紹介します。
エグゼクティブ食事マナーは食べ方そのものも重要ですが、食事中の雰囲気やちょっとした所作も大事です。これらのポイントは、実践する/しないで、あなたの食事中の印象を大きく左右します。
ここから見られる
1.洋のテーブルでは、手はさりげなく上に出しておく
日本人はふだんきちんとしたいときは、ひざの上に手を置きますが、洋のテーブルマナーでは、ちょっと違った感覚になります。 ひざの上に手を置くとテーブルに隠れてしまいますが、「手の部分を隠す」という行為は、実は洋のマナーでタブー視された歴史がある行為です。大昔は暗殺などの危険もあったのでしょう。手を出して「怪しくない」態度でいることが求められました。
今はそんな危険性はめったにありませんが、良くない印象は残っているので、手はさりげなくテーブルの上に出しておく方が良いのです。また、テーブルの上で手を軽く組んでおいたほうが余裕のある態度に見えますので、その点からもおすすめです。
意外な小物が格を上げる
2.ナプキンをきちんと使う
ナプキンは、ひざの上に置いて汚れ防止に役立ちますが、本来は口や指をふく用途があります。グラスに口を付ける前に口元を押さえ、グラスを汚さないようにするなど、ナプキンを使い慣れているのが一流のエグゼクティブです。
頻繁に使いすぎると、それはそれで落ち着きがないように見えてマイナスですが、食事の合間などにきちんと口元の脂を押さえてからグラスを手に取る仕草は、男女ともにとても品を感じさせる仕草です。
ここで差がつく
3.一口の量は小さくする
基本的に食事では会話も楽しみます。そんなときに口の中にものを入れたまましゃべるのは最大のタブーです。愛艇食べている途中の口の中が見られたら、それだけで印象は急降下です。それを避けようとして、モゴモゴとしたり、手で口を隠して一生懸命しゃべったりするのは、正直言ってカッコ悪いことです。たくさんの量をいちどに口に入れてしまう人は、ふだん人との会食に慣れていないこともすぐわかってしまいます。
話しかけられても、1回2回噛んだら飲み込めるくらいの大きさに食べ物を切って口に入れることを実践しましょう。また、反対に食べ物を口に入れたばかりの人に急に話を振らないようにお互いに気をつけることも、お互いにきれいに食べるための思いやりとして心得ておきたいですね。
「品」があるかないかを判断されるこの部分
4.お互いに食べ進めるスピードを合わせる
食事で親睦を深めるなら、「調和」が大切です。一人一人が勝手にマイペースで食べるのなら、一緒に食事する意味もありません。ここは気をつけたいポイントです。
料理は全員がそろったら食べ始める、が原則です。(ただし、非常に大勢の会食会の場合は、前後左右くらいの方々とペースを合わせれば良いとされています) 食べ終わるタイミングもお互いに合うように、さりげなく気を使いながらスピードを合わせるなどを意識してください。
子供じゃないから
5.会話が続く時は、いったんナイフ・フォークや箸は下に置く
会話が続き、食べモノを口に入れない状態が続くようでしたら、ナイフやフォーク類はいったん置いてください。慣れない人は、それらを持ったまま話に夢中になることがありますが、見た目がとても子供っぽく見えます。またナイフなどを振り回すこともあり、危ないです。(ご存知と思いますが、その時はナイフフォークは「ハ」の字に置きます。)
リスペクト感に出る人間性
6.食べ初めには「味わう」
せっかくの料理です。料理にも作った人にも「リスペクト」の態度が重要。会話で盛り上がっていても、料理が来たら料理にいったん目を移し、一口味わうワンクッションを大事にしてください。そのほかにも持ってきてくれたスタッフに軽い会釈や御礼など、きちんとリアクションをとります。それによってテーブルもなごやかになるものです。
慣れない人や余裕のない人は、料理を出されても何もリアクションがないことが多く、話に夢中になりすぎてウェイターの料理説明を無視する、ただもくもくと食べるだけ、という残念な態度のことがあります。もし、そんな人がホストなら、つまらない席になると思いますし、もしゲストであれば招いた側であるホストはそんな冷たい態度に失望するでしょう。
身構えるとカッコ悪い
7.レディファーストを自然に行う
グローバルスタンダードでは、レディファーストに変に身構えたりしません。照れることもなく、男女ともに自然にとらえています。女性に奥の席をすすめたり、オーダーも女性優先にしたりする男性と、笑顔と感謝でそれに応じる女性、という調和した風景があります。
男性のみに負担がかかる、と日本では特に男性に嫌がられることが多いレディーファーストですが、海外お多くの地域では、構えずに弱者優先の感覚で行われており、社会的教養の代名詞のようになっているのも事実です。他の地域の風習に合わせるつもりで、自然体でどうぞ。女性も自然に応じて下さい。基本はお互いへのリスペクトです。
ただし、見様見真似の勘違いもありますので、下の記事を見て参考にしてください。
男性注意!デートだけではなく接待でも失敗する「勘違いエスコート」
エグゼクティブの当然の心得とは
どんなマナーも、いえどんなこともそうですが、「やらされている感」は何の役にも立ちません。「振る舞いの選択権は自分にある」。できるエグゼクティブは、マナーの意義を理解し、必要な知識を身につけ、自分や周囲のことを十分に考えて振る舞いをチョイスしています。
エグゼクティブの中でも「あの人、さすがだな」「一流だな」、と多くの人に思われる人は、マナーについても、「こうすればいいんでしょ」と表面をなぞるのではありません。例えば、食事の目的はあくまでコミュニケーションであり、マナーは手段であると理解していることから、会話が途切れないように周囲にバランスよく話しかけるなど、コミュニケーションに気を使います。マナーはその会話の邪魔にならず、人が食べているときに不快にならない手段としての認識です。マナーを守ることは必要ですが、それは手段であり、目的ではないのです。
そして、「できる人」はさらに自分の人となりをきちんと表現できるように、準備の意味もあり食べ方マナーに気をつけます。
あるクライアントに聞いた話ですが、ある会計事務所と契約しており、担当と始めて一緒に食事をしたところ、その担当者はどの皿もあっという間に平らげ、他の人間が食べている間は所在なさげに飲み物をガブガブ飲んでいたとか。そのクライアントは、こんな周囲に目配りのなり人間にはうちの仕事は任せられないと、会計事務所に連絡して担当を後から変えてもらったとのことでした。その担当者はまさかそんなことで自分の生成器を落とすとは考えていなかったでしょう。
このような失敗は、まずしないように先に準備をしておく。振る舞いを磨けば磨くほど、多くの場面で自分を助けてくれることを、「デキる人」は知っているのです。
ですから、食事の仕方もきれいなだけでなく、お店のスタッフにも丁寧に接するし、自分たちのテーブルだけでなく、周囲のテーブルでも美味しく食事ができるよう、声の大きさや話題、身振り手振りに気を付けるなどが自然にできています。こういったところも忘れないようにしていきたいものです。