がんばっているのに報われない
-残念な扱いを生む原因は服装にあるかも?
それだと損をしたまま
ブランド品を購入したことはありますか? ブランド品は、そのもの中身にも歴史や機能など大いに価値がありますが、その価値を感じるのは、ブランドを表すのにぴったりな箱や包装紙でくるまれたものを手にする瞬間がいちばん多いのではないでしょうか。
価値あるブランドにはその価値があることがわかる包装がされています。人間で言えば包装紙は衣服。服装はあなたというブランドを包む包装紙と言えるのです。
しかし、それを十分に意識できていない場合、価値あるブランド品を量販店の袋に入れるような包装を自分にしていることもあり得ます。それを見たときに、中に入っているものは価値あるブランド品だとわかるのは何人でしょうか。「中身の価値を見抜けない人は見る目がない」などと言ってしまえばそれまでですが、わざと中身の価値を見せないことに意味はそもそもあるのでしょうか。
しかし、ごく一般のビジネスパーソンの中には、「そこ」がわかっていない人は少なくありません。実際、「いかがなものか」とつい思ってしまうようなスーツの着方や、自分がラクに思えるだけのカジュアルな服装などを選択している人もよく見ます。
着るものがもたらす印象を理解しないと、自分が意図しないイメージをもたれて損をします。
あなたがもし、信頼されにくい、頼りにされにくい、真価や実力をなかなかわかってもらえない、と思うことがあるなら、あなた自身をそんな残念な扱いにさせているのは、周囲へのあなたの「見せ方」かもしれません。そして、服装は「見せ方」にはかなり影響があるものなのです。
損をしたままではもったいないのです。自分というブランドにふさわしく、自分というブランドをより良く見せる「包装紙」。服装をいちどそんな風に見直してみませんか?
服装が周囲に伝える情報群
服装が表現するのは、単にあなたのおしゃれ度だけと思うなかれ。服装はあなたの能力と「格」をあらわします。それだけではありません。服装が着る人について表現するのは以下のようなことです。
社会的成熟度、
自己認識能力
客観性
誰もが「この人の社会的成熟度はこうだ」などと言葉にして考えるわけではありません。感覚で受け取ります。ただ、感覚は思考よりも先に動き、感覚で受け取ったイメージはその後にスタートする思考に影響し、思考の結果の判断に影響します。
一流のエグゼクティブは、人間の「感覚」「感情」が思考に及ぼす影響をよく理解しているので
服装にも手を抜きません。ビジネスで信頼されたいときは、ビジネスにふさわしい人材にぴったりな包装紙=装いを選びます。その時に気を付けるのは、流行やモードにをやたら取り入れたりせず、またいたずらにデコラティブな装いもしないということです。
それが、ビジネスフォーマルであろうと、ビジネスカジュアルであろうと、自分が周囲にもたせたい印象にしたがって、服装を選択します。
例えば、多くの場合は、物事をよくわきまえ、社会的な常識を有し、職業や役職にふさわしい能力と品格を持ち合わせていることがわかることを意図して服装を選択します。そのような意図を持つ場合は突出したおしゃれ感はかえって邪魔だということが、一流のエグゼクティブにはわかっているのです。
もちろん、どんな人であっても、軽いイメージや安っぽいイメージ、格下のイメージ、だらしなくいいかげんなイメージ、仕事に真剣でないイメージ、など、信頼からほど遠いイメージで見られたい人はいないでしょう。
しかし、実際はどう見てもそれを狙っているとしか思えない、そんな残念な装いになってしまっている人もいるのです。
それはどうしてでしょうか? たぶん、ビジネスの服装についての判断基準が少し間違っているからだと言う気がするのです。繰り返しになりますが、間違ったスーツの着方や、自分がラクに思えるだけのカジュアルな服装などは、あなたを誤ったイメージに見せることがあります。もしも、それが軽い、安っぽい、格下、だらしない、いいかげん、仕事に真剣に見えない、などのマイナスイメージであったら、本当にもったいないことです。
そんなイメージを一瞬でも感じさせてしまえば、あなたはそのイメージを回復するために、余計なエネルギーを使うことになってしまいます。
「格」の意識を持とう
服装選びの判断基準に「この服装は自分のポジションや役割を表しているか?」という項目を入れたことはありますか? 要は「自分の格に合うかどうか」です。
社会人になると、「格」の意識は必要です。
学生の頃は、あまりそんなものは必要ありませんでした。「おしゃれ」や「流行」くらいが
自分の服装を判断する上でのひとつの有力なバロメーターでした。カッコ良く見える、モテる、それが判断基準でもよかったのです。それに加えて、「似合う」「個性を引き立てる」と考えていた、と言う人もいらっしゃるでしょう。
しかし、一段上の「社会」特に「ビジネス界」ではそれだけでは足りません。社会に出ると
さまざまな責任が出てきます。また、人との関係性は仕事の成果にも直結します。そして、人との関係性の上で信頼や期待を得ることは何より重要になります。
人の信頼や期待に応え、かつ自分の能力や人格を正当に伝えるために、自分が示すイメージもより重要となるのです。そこで「格」なのです。
「格」とは上でも言った通り「この服装は自分のポジションや役割を表しているか?」ということですが、さらにはっきり言うと、社会人としてのレベルのことです。
ポジション、役割、経験値やキャリア、さまざまな能力や専門性、社会的な常識、物事のわきまえかたなどが、社会人のレベルを左右します。もちろん、これらが優れていればいるほど、信頼され期待されるのは当然です。一目置かれ尊敬されるのも、こうしたポイントです。
張り子の虎になる必要はありませんが、実際のあなたかそれ以上を見せたいものです。少なくとも、正当な評価をされるように、自分自身のことを伝えたいですね。ですから、周囲にどう見てもらいたいか、どう見せるのが自分にとって正解か、それだけは考える必要があるのです。
自分にふさわしい「包装紙」を選ぶ2つのポイント
信頼や期待感を得やすいイメージを自分にもたせることは、さまざまなチャンスや成功への道筋の
可能性を広げることになるのです。先ほども言いましたが、一流のエグゼクティブになるような人は、人間は理屈ではなく感覚に左右されることをよく知っています。それに加えて、その感覚を逆に利用し、自分に有利な環境を作ろうとするのです。
ですから、「おしゃれ」より、自分にふさわしい「格」を意識します。
「格」には「選び方」が重要です。まず、その場の雰囲気や目的に合わなければどうしようもありません。ですから、服装のルールをきちんと知っています。知識があるので、TPOが判断でき、自分の立場からいって何をどう身につけることが正解になるかを総合的に判断できるのです。
日本では、服装のルールを自分できちんと知る機会は少なく、ほとんどの社会人が制服を着崩すことや、どこでも気楽なカジュアルでそこそこ楽しめることを覚えただけの状態で、「ビジネス服」を選ぶ目に合っています。そんな日本で服装のルールをきちんと理解しようとなると大変そうですが、その中でもビジネス感覚が鋭い人は、先を読み服装を武器にしようとルールに触れ始めます。
最初にルールをきちんと知っておきましょう。そうすれば、しっかりした選択基準を持つことができ、身につけるものによって、「信頼」「有能」「プロフェッショナル」など、自分が望むイメージをいつでも自動的に周囲に伝えられるようになります。
服装のアドバイスを聞くとき、多くの人は、ファッショナブルなショップのスタッフや買い物同行などもしてくれるスタイリスト、あるいは周りのおしゃれ上手な知人などに頼ります。そういったファッションの師匠がいるのはいいことです。しかし、危険性も承知しておいてください。
服装で失敗するビジネスパーソンは、必要なルールを知らないがゆえに、他人の情報やアドバイスを鵜呑みにしてしまいます。その他人が、その人をよく理解し、ビジネスというフィールドでの見せ方を知っている人物であれば問題ありません。しかし、そうでなければ、その服装が自分をどう見せているかを知らないまま、よかれと思って着たものでビジネスではかえってマイナスイメージを周囲に持たせてしまう危険性があるのです。
「明るい感じのほうがいいと言われたので」
「流行だしとても似合っていると勧められたので」
これが自分を包む包装紙を選んだ理由であり、そのせいで周囲からはこんな風に感じられていたとしたら悲しくないでしょうか。
・「おしゃれだけど軽薄に見える」
・「良いものを身につけてるのだろうけど
自分の立場や今の場面に合っていない」
・「流行なのだろうけど、軽い」
これでは、ビジネスでの印象も悪くなります。もしそうなっても、あなたのファッションの師匠たちのせいではありません。着るあなた自身がちゃんとした基準を持っていないからだということです。
ちゃんとした基準を持つために、下記の二つのポイントをまず意識しましょう。
●ビジネスの場で自分をどう見せたいかというイメージを持つ
●服装のルールを知る努力をする。
最近はカジュアル傾向ですが、だからといってルールはいらないかというとそうではありません。むしろ「カジュアルダウン」というとおり、「基本を少し崩す」風潮だからこそ、基本の正しい知識を身につけないと、雪崩のように崩れてしまい、ただのだらしない格好となってしまいます。
カジュアルは「ラク」で過ごしやすい服装ですが、「ラク」と「だらしない」は同じ意味ではありません。
服はあなたというブランドを包む包装紙。それを安易に考えたり他人のアドバイスにまかせきりではいけないというお話です。
あなたというブランドを包むふさわしい包装紙を自分で選べるよう意識と知識を磨き、服装を武器に成功のルートに乗ってください。
丸山 ゆ利絵
プレゼンスコンサルタント®/アテインメンツ合同会社 代表