仕事で成功したい人がとるべき
エグゼクティブ的
「服装戦略」とは
選択基準を間違って失敗
あなたは、仕事の服装をどのように決めていますか?「好き」「ラク」「自分に似合う」「おしゃれ」という選び方をしていませんか?プライベートなら、その選び方で十分だと思います。しかし、仕事の服装=「ビジネスアタイア」も何となくその延長で選んでいるのなら、そんな選択基準で考えていると、あなたは知らないうちに大損をしているかもしれません。
現在は、ビジネスパーソン誰もがしっかりと自分というブランドを大事にして正しくアピールすることでチャンスや成功を掴みやすくなってきています。そのようなときに大事なのは、自分の価値をきちんと見せて、さらに高く売る意識です。昔から、成功するエグゼクティブは、そんな服装選びをしていました。成功したい人には、そんな選び方にならい自分のブランドを確立していただきたいと思います。
「服装はその人のラベル」とよく言われます。今まで「何となく」ビジネスアタイアを選んできたのなら、あなたはふだんどんなラベルをつけて人に会っているのか、ちょっと立ち止まって考えてみてください。仕事での服装は選び方の基準を間違うと、人に与える印象の失敗につながりビジネスの損失になってしまうこともあります。
そう言うと、こう思う人もいるかもしれません。
「とりあえずスーツを着ていますけど?」
「服なんて清潔であれば問題ないでしょう」
「外見なんかに気をつけるより肝心なのは仕事の中身や成果でしょう」
もちろん、人間にとって中身は大事であり、人格や仕事能力は何よりも大切なところです。なぜなら、商品でも何でも「中身」を知ろうと思えば、普通の人が真っ先に見るのは「ラベル」だからです。ですから「とりあえず〇〇を着ていればいい」ではなく、見せたい自分を見せられるように意図を持つべきなのです。
人が身につけている服装から読み取れるのは、その人のファッションセンスの良さだけではありません。その人の社会的常識、品位やライフスタイルなどの「自分の中身」をしっかり相手に伝えてしまいます。また、伝えるのは自分の中身だけではありません。その人がどういうつもりでそこにいるか、つまり仕事への心構えや相手への敬意や尊重の気持ちも服装次第で周囲や相手にストレートに伝わります。服装とは、そのような情報を目に見えない文字で書いてある、大変わかりやすいラベルなのです。
少なくとも自分が活躍したい仕事というフィールドでは、「好き」「ラク」「自分に似合う」「おしゃれ」など軽い気持ちを選択基準にすると、いつの間にか評価を下げてしまうことになりかねません。服装を選ぶなら、どういう自分を伝えたいかを考えて戦略的に選びましょう。
外見が自分の中身を作る
服装には、セルフイメージが表れます。つまり、着る人が自分自身のことをどう思っているかも服装からわかります。自分が自分をどう評価しているか、私たちは服装を通して毎日見ていることになります。自分を大切にしているように見えない人を他人が大切に思ってくれるわけもありません。どうせなら自分の価値を認め、自分を大事にしている、そんな自分を毎日眼にしたいと思いませんか。
そのために必要なのは、「どういう自分になりたいか」「どういう自分を人に魅せたいか」という自分に関するブランド確認です。なりたい自分に合わせた服装に身を包むと、そのなりたい自分により早く近づくことができます。
昔の格言に「成功者になりたければ、成功者の服を着よ」という言葉がありますが、外見を先に理想に近づけると、理想とする状態になることが早くなる、という意味です。毎日見る自分自身の姿は実は成長や自己実現にとても影響があります。外見を先に作れば中身つまり考え方や行動もそれらしくなってきます。見た目と中身は互いにバランスをとる両親の関係にあるからです。
「中身が大事」というのは正しい意見です。しかし、それは「外見は大事ではない」と同義ではありません。中身が素晴らしいからこそ、外見がそれを表現できていなければ、他人も自分自身も理解してくれません。
外見は自分を作る大切な要素です。それに気が付かないと、こんな服装になってしまって、その結果自分の評価を低め、自分自身の向上意欲を下げる原因になります。
●スーツは着ていても着こなしがだらしない
●おしゃれをしているが空回りしている。
●服装がいつもカジュアルすぎて相手への敬意が感じられない。
●TPOに合っていなくて、周囲がとまどいや不快感をいだく。
●非常に軽く見え、存在感がまるでない。
●自分が見せたい自分とまったく違う服装になっている
これでは「信頼できない」「軽い」「失礼だ」「できない人」など、望まないラベルを自分に張り付けているのと同じことになります。自分自身でもどこかちぐはぐな思いを持って、今ひとつ自信が持てないでしょう。そんな毎日を送ることは損でしかありません。
何を基準に選ぶか
できるエグゼクティブは、ここまでお話ししたようなことを知っていて、服装を重視し、自分のためにふさわしい服装を吟味して選んでいます。
「できる人」「成功している人」をイメージするとき、どこかパリッとした格好をしているイメージが思い浮かぶでしょう。少なくともどうでもいい格好や浮ついたおしゃれをしている人を思い浮かべる人はいないと思います。
仕事で成功する人や、周りからできる人だと思われる人は、ビジネスカジュアルでもどこか整然とした、一流感を漂わせた装い方をします。
それは会う相手や周囲の「感情」を選択基準にしているからです。どんなコーディネートがプロフェッショナルらしく見えるか? どんなものを着れば今日の相手に失礼にならないか? 今日の相手に与えたい感情はどちらの色や形がふさわしいか? どんな格好が自分の役割やポジションにふさわしいか? 周囲の眼に配慮し、引き出したい感情を引き出せているのです。それは独りよがりなおしゃれや「ラクだから」という選び方ではできないことです。
そのような選択基準を持つには、服装についていくらかの知識は必要です。新人やまだキャリアの浅いビジネスパーソンであれば、常識程度で事足りますが、キャリアを積みリーダーポジションや責任ある役割を担うなら、それなりの知識を積んでおきましょう。
知っておきたいのは以下の知識です(男女共通)
●一般的な服装のTPO 。国際ルール基準であることが望ましい
●色と柄の格の違い
●ビジネススーツのTPO 。硬い場面、華やかな場面、日常的な場面でのスーツの色・形・シャツ・靴や小物の組み合わせ
(※女性でも男性スーツについてある程度知っておくと、スーツ選びに役立ちますが、それをもとにした「女性用ビジネスアタイア」のルールを知るともっと明確な基準で装いを選べるようになります)
●自分に似合う色系統(パーソナルカラー)
●自分にとっての適性サイズ(サイズ感)
これらは、いったん身につければ服装の選択を助け、自分の装いに自信をつけさせてくれる知識です。まだ心もとない人はぜひ少しずつでも関心を持って身につけてください。
ラベルをデザインするように選ぶ
いかがでしょうか。
不安定な時代ですが面白い時代。一人一人が自分というブランドをアピールしやすい時代になってきています。見たとたんに「一流」「できる」「関わってみたい」と思わせる人になるなら、装いはとても重要です。自分のラベルをデザインするつもりで考えてください。
身につけるものの金額はすべてではありません。成功したエグゼクティブなら、それなりに上質なものを身につけている人がほとんどですがもっと若く予算が限られていた頃でも予算内でより効果的に「自分を望むように見せてくれるもの」を真剣に吟味して、その場面にふさわしい装いを選ぶことに重きをおいてきたのです。
そこを大事にしていれば、実力より高く見られることはあっても低くは見られません。すぐに「他とは違うな」と感心され、記憶に残りやすい存在になります。「プロフェッショナルな感じ」「できそうな人」と相手からすぐに信頼感や期待感を引き出します。
逆に謝った基準でいいかげんな装いの選択をすると、「実力より下に見られる、格下に見られる」
「軽く見られる」「人に誤ったイメージを持たれやすい」と悩むことにもなりかねません。自分にふさわしいラベルを描くつもりで、仕事服を考えてください。
丸山 ゆ利絵
プレゼンスコンサルタント®/アテインメンツ合同会社 代表