一流になれない人の学び方とは

 

 

 

「学ぶこと」の大切さは

どのビジネスパーソンも知っています。

しかし、間違った学び方をしている人がいるかも?

熱心で真面目な人ほど陥りやすい

「一流になれない学び方」とは?

 

一流になれない人はこれができない?

 

「この人は一流になれないな、と思う人はどんな人ですか?

筆者はセミナーや講演で、このような質問をいただいたことが何度かあります。正直言って、
そのような診断を私ごときができるわけはないのですが、そう聞かれるとつい頭に思い浮かべてしまうのは、「学びが上手ではない人」という言葉です。

それは、トレーニングや研修、セミナーなどで私が「残念だ、もったいない」と思った方たちのことでもありました。

弊社で行うセミナーやレッスンに参加してくれた方々は、どなたも共通してとても真面目で熱心、真摯な態度の方が多いです。だいたいマネージャーや管理職、上級管理職や経営幹部の方も多く、ほぼリーダーポジションにある方が大半を占めます。しかし現状に満足せず前向きで、それぞれ、課題や悩みがありそれをバネに「理想の自分になりたい」「自分を変えていきたい」と思い、来てくださるのです。

ただ、そんな方々の中であっても、残念ながら「成果が出にくい」タイプの人がいます。

それは「抽象化」が苦手なタイプの人です。

 

「抽象化」と言われても、すぐに意味はおわかりにならないかもしれません。

ちなみに「抽象」という言葉を辞書を調べてみると

事物や表象を、ある性質・共通性・本質に着目し、
それを抽出して把握すること
(三省堂刊「大辞林」より一部抜粋)

とあります。一言で言えば「本質を捉える」こととなり、そのために物事を深く掘り下げて考える思考活動をすることです。抽象化思考ができる人は、掘り下げて考えたり根本にある原因や考えを探ろうとする思考ができる人です。

例えば、何かの事故のニュースを見て「どの場所でいつ、何人が負傷した。事故が起こった理由はこう考えられる」という情報を得た人が二人いるとします。一人はその情報をそのまま受け取り、もう一人は「そもそも、この事故の理由自体の根本原因は何だろうか、以前も同じような理由で事故が起こったけど、根本となる原因はどうすれば解決できるだろうか」と考えたとします。後者のほうが「抽象化思考ができる人」と言えるのです。

 

「できない人」の決まり文句

 

抽象化思考ができる人は、学びにおいては応用力があります。つまり一つの学びをより多くの場面に活かすことができます。「このときにはこうする」「これの答えは〇〇である」という学びを得ても、自然に「それはどうしてだろう」「なぜ、この答えはこれなのだろう」と自分が考えられるまでは考えようとします。このような思考の経験をしておくと、少し違う場面や問題があっても、「学びではこのときにはこうする、いうことがわかった。そして、その理由は〇〇ということがわかっている。その理由を今回の場合にあてはめると、こういう行動が正解に違いない」と類推でき自分の学びの適用がしやすくなります。

そして、抽象化思考が苦手な人は、応用が苦手です。「このときにはこうする」「これの答えは〇〇である」と場面や問題ごとに分けて記憶しようとします。思考を掘り下げて理由を掴むことが苦手であり、もし理由を説明されても、本質的にとらえられないので、ひとつ場面や問題が違うと、いちから考えはじめなければ対処方法を考えにくくなるのです。

抽象化するとは、表面的な情報とその背景にある本質的な部分を分けて考え、背景に興味を持ち考えることです。単純には常に「なぜ・どうして」を考え、自分なりの結論を探ることです。

しかし、抽象化が苦手な人は表面的な情報で満足してしまうい、背景にまで興味を持ちません。そのようなタイプの人は、学びについての質問をするとき、よくこんな決まり文句を使います。

 

「いつもこうすればいいんですね」

「この時はこうしなければいけないんですね」

「こうしておけば間違いないのですね」

 

これは、どういうことかと言いますと、与えてもらった情報についてあまり考察をせずに受け入れる傾向であり、どのようなことも「ルール」や「手順」のように覚えこもうとするということです。これではどのような学びも「このときはこうする」と単純なセンテンスで機械的に記憶するだけになります。細かく場面ごとに仕切られているので、得た学びの記憶を生活の中で活かすこと難しいです。ファイルを整理するときにあまりに細かくフォルダ分けしてしまうと、あとから探しにくくなるようなものです。

抽象化思考ができる人の場合は、学びの中からより深いものを取り出して自分の中に積み重ねていけます。それは記憶というよりも自分で類推し適用する毎日の道具となります。すなわち、それが「能力」です。抽象化思考ができる人は学びをそのまま能力として装着し、使うことが自然にできるようになるのです。

 

ラクに慣れすぎると「できない人」に

 

「抽象化思考ができる人・できない人」と分けてここまで説明してきましたが、ご自分はどちらのタイプだと思いますか? 普通に社会で活躍するビジネスパーソンであれば、誰でも「なぜ・どうして」くらいは考えるはず、と思われるかもしれません。しかし、冒頭で「残念だ、もったいない」という言葉を使ったのを覚えているでしょうか。実は「抽象化思考できない人」は身近に多くいますし、私たち自身がそうである可能性は高いのです。

知っておかなければならないのは、物事を深く掘り下げて考えることは、かなり脳のエネルギーを使うということです。

「なぜ・どうして」
「自分にとっての意味は」
「なぜそうなのか」

物事に対して、これらの質問を本気で考えると、誰もが非常に疲れるものです。ですから、多くの人が、実は途中でやめているのです。実際、弊社のトレーニングの中で、このように抽象化思考を試みていただくことがあるのですが、多くの人が途中から目を白黒させ、汗さえ浮かべます。まだ考えたことがない領域に踏み込むと、そんな様子になるのです。筆者も実は自分自身が目を白黒させ、考えさせられたトレーニングの経験を持っています。つまり、皆、考えているようで深く考えていることは実は多くないとも言えるのです。

抽象化が苦手な人はなぜ苦手なのか。それは、考えるのが大変であり、考えずに鵜呑みにしていたほうがラクだからと言えます。意識をしなければ、人間はラクなほうに無意識に流されます。

学習環境にもよりますが、与えられる情報をそのまま受け取るほうが代替の場合、簡単です。誰か上位の人、例えば先生や上司が「このときはこうしなさい」「これが普通だよ、常識だよ」と言ってくれれば安心できます。そこで自分でその向こうにある「なぜ」を考えるのは面倒です。このようにして社会に出る前から、そして出てからも実は事柄を深く掘り下げる思考を持たないまま育っていることのほうが多いのではないでしょうか。

私たちの多くが、気づけないまま社会で普通に暮らしていて、ラクに慣れ、抽象化思考が苦手となってしまう可能性はあるのです。そして学びをただ待ち受けして機械的に手順を受け取るだけの機会にしてしまう可能性だってあります。それでは、せっかく自分ではがんばって色々なことを学んでいるつもりが、いつのまにか自分で学びを活かせない自分を育てるだけになってしまうことになります。もったいない自分になる前に「物事を掘り下げて考えているか」と自分に問うてみましょう。

 

一流の人が慣れている思考

 

学びがヘタな人の質問の仕方の特徴、あなたの周囲にもいるかもしれません。指示をもらったら安心して、そのままのことしたできない人。

何か問題が起こっても、対症療法しか考えず、根本原因を考察しようともしない人。

いくつかの事象から想像できることを、仮説を立てて考えてみたことがない人、

自分の頭で考えることなく、ただ「どうしたらいいですか?」としか聞けない人。

これらは「抽象化」が苦手なタイプの人です。

成功する人、一流のビジネスパーソンはその反対のタイプを行く人たちです。「なぜ、どうして」に自然に好奇心を持ち、物事の本質や意味を行き当たることに喜びを覚えます。学んだことを、他にいつ、どこで活かすかを考えます。インプットすればそれだけ自然にアウトプットできます。そして「仕事ができる人」に自然になります。

このような人だと、何か問題が起こりとっさの対症療法を考えても、それだけで終わりません「そもそもどうしてこんな問題が起きてしまっているか」「他の問題点と何か共通するものは」と状況を見渡すような考え方をするのです。

一流の人間というのは、一般と比べて視点が高く視野が広いものだと思いますが、非常に細かい点を見ていたかと思うと、一転さっと広く見渡すような俯瞰的なものの見方をするところに特徴があります。

「抽象化」の反対語は『具体化」ですが、抽象と具体の間をスムーズに行き来できるのです。本質や根本が理解できるので、それを応用することができ、またその本質や根本をキープしたまま具体的な事柄、例えば行動計画に落とし込むこともできます。自己や自社の理念やビジョンからぶれることなく、具体的な顧客サービスを実行できる企業などは、このような一流の人間が多い企業でしょう

このような思考は「慣れ」によるものです。物事を掘り下げて考え本質を捉えようとする「慣れ」得た本質を活かそうとする「慣れ」です。「ラクしようと考えることを放棄すること」も「慣れ」なら、深く考えることも「慣れ」です。これからあなたはどちらに慣れていきますか?

深く考えることに慣れる思考は、「なぜ・どうして」を考えるクセをつけることで鍛えられます。

また、自分が目指すことがあれば「どうして目指しているのか」、自分が何かの行動を選択するとき「どうしてこの行動を選びたいのか」、そんな理由、意義をあらためて考えることでも養われます。これは自分の価値観や本質を掴むことに役立つ質問でもあります。自分の価値観や本質を掴もうとすればするほど、判断力や決断力が強くなりますから、考えに値する質問です。

一流もしている思考「抽象化」がデキる人は本からでもセミナーからでも、日常の仕事からでも
多くの学びを得て経験として蓄積し、応用できます。「抽象化思考」は一流のビジネスパーソンに不可欠なものです。特にリーダーズポジションにあるという自覚のある方はぜひ意識してください。

 

 

 

丸山 ゆ利絵

プレゼンスコンサルタント®/アテインメンツ合同会社 代表

 

 

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